
予防歯科の真髄を歩む15年―
歯科衛生士・鈴木さんが語る
「岩田有弘歯科医院」が
選ばれ続ける理由
CG岩田有弘歯科医院/歯科衛生士インタビュー
「嘘のない求人票」に惹かれて。
DAからDHへの転身と入職の決意
ゲスト:鈴木瑞帆さん
(岩田有弘歯科医院 歯科衛生士・勤続15年)
CG:
鈴木さんは、歯科助手(DA)として7年間のキャリアを積んだ後、衛生士学校を経て岩田先生のところに入職されました。今年で15年目。まさに医院の歴史と共に歩んでこられたわけですが、そもそも多くの選択肢がある中で、なぜ岩田有弘歯科を選んだのでしょうか?
鈴木:
実は、最初は友達に誘われて見学に来たのがきっかけだったんです。当時、学校の求人票を端から片っぱしに見ていたのですが、岩田先生の求人票だけは、とにかく「びっしり」と歯科医師としての想いが書き込まれていて異彩を放っていました。
CG:
岩田先生らしい、熱量の高い求人票だったのですね。
鈴木:
はい。でも一番の決め手は、見学に来て「求人票に書いてあることに嘘がなかった」ことなんです。一人ひとりに2〜3時間かけて診療する、滅菌システムを徹底する……。ホームページに良いことをばかりを書き並べても、実際は違うという話も聞きますが、ここは本当にその通りでした。その「正直さ」と、スタッフの面々の感じの良さに惹かれて、「ここで働きたい」という気持ちが芽生えました。

「4時間の初診面談」に同席する意味
――それは“最高の学び場”
CG:
岩田先生の臨床スタイルで特徴的なのは、初診の面談に4時間という歯科医院では、例外的に長時間をかけることですね。鈴木さんたち衛生士も、その場に同席して先生の説明をずっと聞いているとうかがいました。
鈴木:
はい、そうです。実はそれが、私たちが成長する上で何よりの「糧」になっているんです。
CG:
先生が患者さんに何を話し、どう納得してもらうのかを横で聞き続けるわけですか。
鈴木:
その通りです。先生は実際の写真を見せたり、絵を描いたりしながら、その方の歯の状況をアナログに、でも徹底的に深く説明されます。それを横で聞いているだけで、先生が歯科医師としてどのような視点で診断し、何をゴールに設定しているのかが自然と頭に入ってきます。教科書を読むよりもずっと、臨床に即した生きた知識が身につくんです。
CG:
なるほど。それは新人の衛生士さんにとっては、計り知れない教育効果がありそうです。
鈴木:
本当にそう思います。当院では患者さんを一人で担当するようになるまで1年ほどかけますが、その間、先生のアシスタントとして説明を横で聞き続ける経験が、自分自身の「説明の引き出し」を増やしてくれます。

「情報の共有」を超えた「パーソナリティの共有」
CG:
説明の視点や仕方を学ぶだけでなく、患者さんとの関係性づくりにも影響があるのではないですか?
鈴木:
おっしゃる通りです。面談に同席することで、その患者さんが何に困り、どんなことに不安を感じているのか、さらにはその方の性格や生活背景まで、治療が始まる前に深く理解できます。
CG:
それは、その後の初期治療やメインテナンスに大きく活きてきますね。
鈴木:
はい。「初めまして」でメインテナンスに入るのとは、信頼の積み上げ方が全く違います。患者さんのバックボーンを分かった上で私たちがバトンを引き継ぐので、患者さんも「自分のことを分かってくれている」と安心して身を委ねてくださいます。この「シックスハンド(歯科医師+アシスタントDH2名)」での診療体制も、質の高い予防を生む土台になっていると感じます。

「10万円の初診料」という壁を、患者さんと共に越える
CG:
とはいえ、初診料10万円という設定には、最初は驚きもあったのでは?
鈴木:
もちろんありました。「桁が一つ違うんじゃないか、何か職業が違うんじゃないか」と(笑)。自分自身が患者だとしたら受け入れられるだろうかと、最初は戸惑いもありました。
CG:
その迷いは、どうやって確信に変わっていったのですか?
鈴木:
やはり現場での患者さんの反応です。先生の熱のこもった説明を聞き、患者さんが「今まで聞きたかったことが全部聞けた」「自分の口の中のことが全てわかった」と満足して帰られる姿を何度も見るうちに、迷いは消えました。
CG:
価格以上の「納得」を、先生が時間をかけて作り出しているのですね。
鈴木:
はい。説明に嘘がなく、患者さんの人生に踏み込んだ提案をする。その誠実なプロセスを間近で見ているからこそ、私たちも自信を持って「この医院の価値」を信じることができています。

徹底した「見えない部分」の管理が、DHの誇りを作る
CG:
インタビュー中、洗濯機がずっと回り続けているのも印象的でした。衛生管理へのこだわりも並大抵ではありません。
鈴木:
患者さん一人ごとにタオルやスクラブ(着衣)を変えるのは当然ですが、洗濯袋にも「水に溶ける特殊な袋」を使い、汚染物に触れずに処理しています。また、滅菌パックも未使用であっても半年経てば全てチェックしてパッキングし直すというルールを徹底しています。
CG:
コストも手間も膨大ですが、それが安心につながっている。
鈴木:
はい。こうした「見えない部分」での誠実さがあるからこそ、私たちは誇りを持って働けます。一度この基準を知ってしまうと、他の医院では働けない……正直、そう思ってしまうほどです(笑)。

15年経って気づいた、予防歯科の「本当の喜び」
CG:
15年、同じ患者さんを診続けることで、鈴木さんの中に生まれた変化はありますか?
鈴木:
患者さんと共に年を重ね、「人生のパートナー」のようになっていく感覚です。
ライフスタイルの変化や体調の揺らぎに気づき、寄り添えるのは、長期担当制ならではの醍醐味です。
CG:
予防歯科を志す後輩、そして経営者の皆さんにメッセージをお願いします。
鈴木:
DHが「辞めない医院」とは、自分が納得できる、嘘のない仕事ができる場所だと思います。
個室でじっくり向き合い、先生の背中を見て学び続けられる。そんな環境こそが、プロとしての喜びと成長を支えてくれるはずです。
「何も起きない」という、
最高の成果を分かち合う
CG:
最後にお聞きしたいのですが、鈴木さんはここで15年勤めてきて、ご自身の中で「予防歯科のゴール」をどう捉えていますか?
鈴木:
実は、メインテナンスの成果って、すぐには目に見えないものなんですよね。痛みが取れたというような劇的な変化はありません。患者さんが「歯を失わずに済んだ」という本当の価値に気づくのは、何十年か経った後なんです。
CG:
たしかに、失わなかったという事実は、未来になって初めて証明されるものです。
鈴木:
そうなんです。だからこそ、日々の積み重ねはとても地味で、根気のいる仕事です。でも、長年通ってくださる患者さんと「今回も変わりないですね」と笑い合える。その何気ない瞬間に、私は一番の幸せを感じます。
CG:
その「変わりない」という言葉の裏には、先生や鈴木さんが守り続けてきた多くの時間と手間が詰まっている。
鈴木:はい。先ほどもお話ししましたが、正直、岩田先生のこだわりを知ってしまうと、他の医院で働くのはもう難しいと思います(笑)。でもそれは、私自身が「ここで治療を受けたい、ここでメインテナンスを受けたい」と心から思える場所に、15年もいられたということ。その確信があるから、私は明日もまた、一人ひとりの患者さんのパートナーとして、真っ直ぐに向き合えるんだと思います。

【編集後記】
インタビュー中、医院の奥では絶えず洗濯機が回る音が響いていた。
それは、患者さんには直接見えない、そして直接的な利益を生むこともない「清潔」への拘りともいえる音だ。
「初診料10万円」という数字や、書店の棚に並ぶ「キャッチーな書籍」。それら断片的な記号だけを切り取れば、この医院を商業主義的な存在と捉える向きもあるかもしれない。しかし、歯科衛生士・鈴木さんの言葉に触れれば、そんな懸念は単なる杞憂であったと即座に理解できる。
彼女が語る「嘘のない医療」とは、こうした見えないディテールの積み重ねそのものであった。
10万円の初診料や数時間の診療枠。それらは単なる「仕組み」ではなく、一人の患者さんの人生を預かるという、逃げ場のない覚悟の表明なのだろう。
帰り際、鈴木さんが「自分でもここでメンテナンスを受けたい」と静かに微笑んだ。その一言に、この医院が15年以上も高い支持を得続けている本質が集約されている気がした。
小伝馬町の交差点へ向かう道すがら、私の頭には、プロフェッショナルが持つ静かな矜持と、それを支える誠実さの定義が、確かな手応えとして残っていた。
(取材・文:
コミュニケーション・ギア編集人 伊藤)




