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日吉歯科診療所で一番好きな場所

日吉歯科診療所のホームページを20数年ぶりにリニューアルしました。

日吉歯科診療所のホームページを20数年ぶりにリニューアルしました。

私は30年近く、この診療所を見てきました。

全国から歯科医師や歯科衛生士が見学に訪れ、多くの人がここで学び、それぞれの地域へ戻っていきました。
予防歯科という言葉がまだ一般的ではなかった時代から、酒田を訪れた人たちが学びを持ち帰り、自らの地域で実践を続けてきました。

日吉歯科診療所と聞くと、多くの人は診療システムやメディカルトリートメントモデルを思い浮かべるでしょう。

全室個室の診療室。
徹底した感染対策。
リスク評価を中心とした診療システム。
長年積み重ねられた臨床データ。

どれも日吉歯科診療所を語るうえで欠かせないものです。

しかし、私がこの診療所で一番好きな場所は診療室ではありません。

待合室です。

診療室は無駄がなく、合理的で、機能的です。長年の改善の積み重ねが随所に感じられます。
一方で待合室には、また別の空気が流れています。

静かで、落ち着いていて、どこか優しい。
決して豪華な空間ではありません。

それでも人を安心させる力があります。

患者さんを急かさない。
不安をあおらない。
過剰に演出しない。

ただ自然に、その人がその人のままでいられる空間があります。
私は昔から、この待合室が好きでした。

30年近く見ていると、診療室の形や設備、診療システムを参考にした歯科医院は全国に数多く生まれました。
しかし、待合室に流れるあの空気だけは簡単には再現できません。
それは設計やインテリアの問題ではなく、その診療所が患者さんをどのように見ているかという姿勢に関わるものだからです。

日吉歯科診療所は徹底して科学を大切にしてきました。
データを集め、分析し、改善を繰り返してきました。
その積み重ねによって、スウェーデンやアメリカの歯科大学の研究者や臨床家たちとの交流も長く続いてきました。

しかし患者さんを数字だけで見ているわけではありません。
患者さんは統計ではなく、一人ひとり異なる人生を生きています。

診療室には科学的な姿勢が表れています。
そして待合室には、人へのまなざしが表れているように私には感じられます。
今回のホームページディレクションでも、そのことを強く意識しました。

余計な脚色をしない。
過度なPRをしない。
あるものは事実として伝える。
そして、できるだけポージングした写真を使わないこと。

それを心掛けました。

今回使用した写真の多くは、私自身が撮影したものです。

診療中の風景。
院内の日常。
その中でも私が好きなのは、熊谷崇先生が患者さんの口腔内に向き合っている写真です。

先生はもちろんカメラなど見ていません。
目の前の患者さんだけを見ています。
私はファインダー越しにその姿を見ながら、この人は50年近くこうして患者さんと向き合い続けてきたのだろうと思いました。

そこには派手さはありません。
演出もありません。
あるのは患者さんの健康に対する責任と誠実さです。

ホームページ制作の仕事を長く続けていると、どんなコピーよりも一枚の写真が多くを語ることがあると感じます。
私はあの写真に、熊谷先生が歩んできた臨床人生の一場面が写っているように思っています。

だから今回のホームページも、できるだけ静かに、そして誠実につくりました。

完成したホームページを見ながら、私は改めてあの待合室のことを思い出しました。

合理性を追求しながらも、人への敬意を忘れないこと。
科学を大切にしながらも、安心や優しさを失わないこと。
そして、必要以上に自分を演出しないこと。

本当に良いものは、無理に語らなくても伝わる。
私は30年近く日吉歯科診療所を見続けてきましたが、そのことを最も教えてくれた場所は、診療室ではなく、あの待合室だったのかもしれません。

もし酒田を訪れる機会がありましたら、ぜひ診療室だけでなく待合室にも目を向けてみてください。
そこには設備やシステムだけでは語ることのできない、この診療所の日常が静かに流れています。

▶︎ 日吉歯科診療所ホームページ


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