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国際女性デーと歯科医療
――新聞の一面と、歯科大学の教室から見える未来

去る3月8日は国際女性デーでした。
世界ではミモザの花を贈る日として知られていますが、日本では少し事情が違います。

現在、新聞は「役割を終えつつあるメディア」と語られることもありますが、私は習慣として、休日に全国紙のスクラップを行っています。
新聞の一面を見ると、そのメディアが持つ価値観や哲学が如実に現れるからです。

今年の3月8日の朝刊を見比べてみると、その違いは鮮明でした。
毎日新聞:国際女性デーを一面トップで報道(視点は「社会問題」)

  • 朝日新聞:題字にミモザをあしらった情緒的な特集(視点は「社会思想」)
  • 読売新聞・産経新聞:社会面や論説での扱いで、一面ではない(視点は「国家・政治」)
  • 日経新聞:変わらず経済指標が中心(視点は「経済」)

何を一面に置くかで、その新聞が「今、何が最も重要か」と考えている哲学が透けて見えます。

この議論の背景には、世界経済フォーラムが発表している「ジェンダー・ギャップ指数」というよく知られた国際指標があります。
最新の2025年度版でも、日本は148カ国中118位と、先進国の中での低迷が続いています。
特に政治や管理職における女性比率の低さが、依然として大きな要因と言われています。

ところが、歯科医療の世界に目を向けると、そこには全く違う景色が広がっています。
現在、日本の歯科大学(全29校)のうち、すでに10校で女子学生が半数を超えています。
全国平均で見ても女性比率は約45%に達しており、歯科界は日本社会全体よりも一足早く、「女性医療職が主役となる社会」へと移行しつつあるのです。

そしてもう一つ、興味深い事実があります。
予防歯科の先進国として知られるスウェーデンでは、歯科医師の女性比率がすでに約67%に達しています。
歯科衛生士はもちろん、歯科医師も女性が多数派なのです。

北欧の歯科医療の中心にあるのは、広く知られているように修復治療ではなく「予防」です。

  • 母子保健・学校歯科・生活習慣の指導・メインテナンス

これらはいずれも、患者さんの生活に長い時間軸で寄り添う医療です。
そのため、単なる技術と情報の提供だけではなく、対話や心の動き、すなわち行動変容を支えるコミュニケーションのプロセスが不可欠になります。

歯科衛生士を中心としたチーム医療が自然に機能し、予防という考え方が社会
に根付いていった背景には、こうした女性たちの活躍がありました。

これは、コミュニケーションギアが追求している「生涯にわたって健康を守り続ける」という歯科医療の本質そのものです。

歯科医療は、単に歯を修復する技術ではありません。
生活と健康を長い時間軸で支え続ける「伴走者」としての医療です。
その現場では、すでに女性たちが中心となって新しいスタンダードを作り始めています。

国際女性デーの新聞を読みながら、ふと思うのです。
日本社会のジェンダー議論は、まだ政治や企業の話が中心かもしれません。
しかし、歯科医療の現場では、すでに次の時代が静かに、そして力強く始まっているのではないか、と。

新聞の一面よりも、歯科大学の教室の方が、日本の未来を正しく映し出しているのかもしれません。


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