治療から予防へ　近現代・歯科の軌跡をめぐる記憶散歩
～横浜・東京・酒田へ去来するイノベーション～

【New】 【2024年10月25日】

第6話／「銀座・日本橋・浅草から始まる近代歯科第1世代の記憶」銀座・散歩編

　小幡英之助(日本人歯科医師第1号)の弟子である伊澤道盛は、京橋区で開業した後、歯科衛生講習会（子育て中の母親を対象）を毎週のように実施したとされています。
　こうした活動こそ、「予防の原型」の芽生えといえるのではないでしょうか。
　「いずれ母親となる女性への啓蒙」という考え方は、現代の予防歯科の基本理念にも自然につながってくるDNAを感じます。

【New】 【2024年9月26日】

第5話／「横浜外国人居留地跡と周辺・散歩」編㊦

　横浜における外国人居留地時代の歯科医療に関しては、横浜市が運営する《横浜開港資料館》と神奈川県歯科医師会が運営する《歯の博物館・横浜》の所蔵資料を抜きには語れません。
　とりわけ、幕末・明治時代初期の歯科治療の内容については、当時の横浜で発行されていた英字新聞などの「外国人歯科医の広告」から類推できます。
　その内容とは・・・

【New】 【2024年8月22日】

第4話／「横浜外国人居留地跡と周辺・散歩」編㊥

　さて今回、2度目の旧横浜外国人居留地跡（現・横浜市中区山下町）で「近・現代歯科」の歴史散歩に出かけるにあたり、直前に素晴らしい資料と出会うことができました。
　それは特定非営利活動法人「日本顎咬合学会」が発行する国外向け論文誌「JICD／Journal of Interdisciplinary Clinical Dentistry（2021年発行／VOL.52）」に掲載された『明治期における歯科治療の変遷』と題する論文です。
　その目をみはる内容とは・・・

【2024年7月29日】

第3話／「横浜外国人居留地跡と周辺・散歩」編㊤

　横浜には近代化の始まりとともに、たくさんの「日本初」が誕生しますが、「近代西洋歯科医学の発祥地」ともなりました。
　そのことを端的に実感できる場所があります。横浜高速鉄道みなとみらい線・馬車道駅からほど近い場所に立地する「神奈川県歯科医師会」（横浜市中区住吉町）の玄関前です。
　そこには、日本の近代歯科医学の始まりに関する、二つの重要な顕彰碑が設置されています。それらの顕彰碑には日本歯科界の発展に大きく貢献した証として碑文が刻み込まれています。

【2024年6月25日】

第2話／「酒田市・日和山周辺・散歩」編㊦

　日吉歯科診療所の在り方（予防歯科の交流拠点）は、第一話でも書いたように、酒田湊と呼ばれていた中世から近代はじめまでの時代の酒田港が結果的に果たしていた「HUB港（貨物を積み替え、別の目的地へと輸送する中継拠点港）」としての在り方を、まさに想起させます。
　国内外の診療を求める人々、予防歯科の研鑽に意欲的な歯科医師や歯科衛生士などが集い、技術的交流や情報交換の実践などを通じて予防歯科界のHUB港的な「場」を形成しているのです。

【2024年5月27日】

第1話／「酒田市・日和山周辺・散歩」編㊤

　近・現代の歯科医学・歯科治療の変遷（記憶）を今に伝える「物件」（歴史的遺構や記憶の地）を訪ね散歩する――。
　そんな趣旨で、今回から始まった本コラムが、最初の訪問地に山形県酒田市を選んだのは、他でもありません。予防歯科の導入以来、紆余曲折をへながら、予防歯科が独自の進化を遂げてきた日本の中心地が、まさに酒田市だからです。