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歯にとって最も危険なお菓子は何?

 飴、キャラメル、グミ、チューイングガム、チョコレート、アイスクリーム、ケーキ、クッキー、饅頭、羊羹… 数え上げればきりのないほどの様々なお菓子の中で、最もむし歯になりやすい危険なものは砂糖入りの飴や砂糖入りのチューイングガム(現在はほとんど見かけませんが)、キャラメル、グミです。砂糖の入った甘いものはすべてむし歯のリスクになりますが、どうしても甘いお菓子を食べたいときは、これらは最後の選択肢にしてください!


 これらに共通した特徴は、お口の中に長くとどまるということです。むし歯は、お口の中の細菌が「発酵性炭水化物(糖・でんぷん)」を分解するときに生じる「酸」によって歯の結晶が壊される病気です。歯の表面が酸にさらされた後に、唾液がその酸を洗い流し、唾液の中のミネラルが壊された歯の結晶を修復します。飲食の度にこの「引き算」と「足し算」が繰り返され、結果としてマイナスが度重なるとそのうち歯の表面に穴が開いてしまうのです。酸にさらされる時間が長くなる砂糖入りの飴、キャラメル、グミなどの場合、「引き算」ばかりが長く続きます。


 たとえば、飴ひとつを口の中でなめ続けると、砂糖が溶け出す時間は10〜20分以上。それほど多くないカロリーで、長く楽しめるとなると、ダイエットにはいいかもしれませんが、その間、お口の中は酸性の状態が続き、歯は常に攻撃にさらされます。一方、カロリーの高いアイスクリームの場合はもっと短い時間で飲み込まれますね。砂糖入りの飴、キャラメル、グミ類のほうが歯へのダメージは格段に大きいというわけです。


 最も危険な行動は、寝る前にそれらを口の中に入れてそのまま寝てしまうことです。寝ている間は特に唾液の量が減るため、何時間も酸の攻撃を受けっぱなしになります。また、砂糖入りのど飴を「薬代わり」として、一日中口に入れるというのも危険です。この2つは絶対にやめてください!


 そういう時は、シュガーレスの飴・チューイングガムを利用しましょう。砂糖の代わりになる様々な甘味料がありますが、中でもキシリトールは酸をまったく作らせないことで安心です。ただ、摂りすぎるとお腹が緩くなるという副作用があります。チューイングガムは唾液の分泌を促すという良い作用もあります。その他にも糖アルコール類(ソルビトール、マルチトールなど)やアスパルテームといった代替甘味料があります。


 私は今までに、砂糖入りの飴を振る舞われたことが幾度となくあります。日本のタクシーの運転手さんや、国内外の飛行機のフライトアテンダントの方、スウェーデンのホテルの受付でも。お客さんに甘いものを長く楽しんでもらおう、気圧変化による耳の不快感(耳抜き)を取り除くために飴を口の中に長く含んでもらおう、といった気配りを感じつつも、私が大切に守っている歯にとっては毒を盛られているような気がしてしまいます。大袈裟なようですが、ほんとうにそれくらい害のあるものだと思ってくださいね。ただし、災害など緊急時には、保存がきき、カロリーを補う食品として、備蓄しておくのは賛成です。


写真説明

お土産にいただいたスウェーデンの伝統的な飴、ポルカグリース(Polkagris)。食べずに災害用に保存しています。


筆者プロフィール

Makiko NISHI

西 真紀子
NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長
(旧称 「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」)

1996年 大阪大学歯学部卒業
     大阪大学歯学部歯科保存学講座入局
2000年 スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座客員研究員
2001年 山形県酒田市 日吉歯科診療所勤務
2007年 アイルランド国立コーク大学大学院修士課程修了
Master of Dental Public Health (MDPH)取得
2010年 NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長
(旧称 「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」)
2018年 同大学院博士課程修了 
   Doctor of Philosophy(PhD)取得

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