第2話 藤沢歯科ペリオ・インプラントセンター(神奈川県藤沢市)
訪問日:2021/7/29(木)
今回、第2弾の当方見聞録の取材記として、神奈川県藤沢市にある「藤沢歯科ペリオ・インプラントセンター(以下、藤沢歯科)」を訪問しました。
その理由は、他ならぬ雨宮啓院長(以下、院長)による専門医、歯科衛生士の育成に向けた情熱を感じたからだ。予防歯科に対する患者教育の入口とも言える「歯科衛生士」の質向上、活躍の場の拡大に向けて取り組まれている医院であり、なんと、「認定歯科衛生士」が多数在籍。
取材してみると、物腰が柔らかく、優しい笑顔が印象的な院長であったが、「とにかく患者や歯科衛生士への思いが非常に強い」魅力的な院長であった。
コロナ禍がスタッフ間の関わりをより強く変えたそうだ、その内容を紹介したい。
歯科衛生士・スタッフを大切に、ONE TEAMで予防歯科を広めていきたい!
<第一部> 歯科医師 雨宮啓 院長へのインタビュー
専門歯科医師と歯科衛生士の両輪がしっかり回らないと予防歯科は成り立たない!
藤沢駅から徒歩1分のビルにある「藤沢歯科」。 院長は、大学院で歯科麻酔学の博士号を取得後、インプラントを専門とするクリニックで研鑽を積み、日本歯周病学会歯周病専門医の資格を持つ。歯周病治療やインプラント治療、歯科麻酔を軸に専門性の高い診療を実践する医院。特に歯周病の治療、その診療を進める上で、“「患者に共感いただけるチーム」である事が一番重要だ“と院長は熱く語る。
更に「予防歯科を本気で成り立たせるには、歯科医師と歯科衛生士の両輪がしっかり回らないとダメだ、メンテナンスを衛生士に投げてしまっては治る歯周病も治らない」、「良い治療をしていても、患者教育を怠り、メンテナンスしていなければ治療を繰り返すことになり、予防歯科においては患者に寄り添う歯科衛生士の存在がとても大きい」と教えてくれた。院長が歯科衛生士をリスペクトしONE TEAMで取り組んでいるからこそ、予防歯科が成り立つと改めて感じた。
コロナ禍を通じて、価値観の変化(対面の対応をしたくないスタッフもいた)から、正直医院を去る人もいたようだが、スタッフとの関わり方はより強くなったそう。「藤沢歯科として覚悟が決まった。本当に院内のスタッフとの結束が強くなった」と熱く語ってくれたことが印象深い。
専門医と認定歯科衛生士による予防歯科の取り組み
~歯科衛生士は、日本歯周病学会 、日本臨床歯周病学会に在籍し研鑽を積んでいる!~
院長は白鳥歯科インプラントセンターにて6年程勤務し、白鳥清人院長より教えを受けた。白鳥院長のことを「まさに生涯におけるメンターです」と恩師のことを語りはじめた。
院長自身が歯科医として育てていただいた経緯がある為、藤沢歯科に在籍する歯科衛生士に対して、「私が経験したことを次の世代にしっかり継承していきたい。もっと歯科衛生士が成長する場所にしたい」という思いを持って取り組んでいるとのこと。
開業後2、3年した時に来院した患者さんを診療し、メンテナンスを衛生士に任せてしまい、治療介入しないと治る歯周病も治らなかったということがあった。根底で歯科医師と歯科衛生士の技術、ノウハウがないと予防歯科は成り立たないことを認識し、「専門医による診査・診断・歯科治療、患者へのメンテナンスを歯科衛生士と一緒にやっていきたいという思いが芽生えた」と熱弁。これこそが認定歯科衛生士を導入している藤沢歯科の取り組みである。
藤沢歯科としての育成プログラム、サポート体制
当院の歯科衛生士が認定歯科衛生士の資格を取得できるように、先ずは学会に歯科衛生士と一緒に参加することから始めた。藤沢歯科では、認定歯科衛生士になるために3年間はサポートすると決めていると語る。通常業務と平行して資格取得をする訳であり、正直、厳しいし苦労もたくさんあるようだ。同じ志をもっているからこそ、資格取得するために専門医と歯科衛生士がフォローしあってONE TEAMで資格取得に向けサポートとしている。
また歯科衛生士が三島にある学校法人鈴木学園にて、毎年4、5月に歯科衛生学科の授業を講師として引き受けている。その理由としては、学会に参加して歯科衛生士が得たインプットを、講師として授業することでアウトプットできる機会を提供すると共に、今後の歯科衛生士の研鑽に繋がっていくと考えているそう。こうした認定資格取得に向けた取り組みによって、歯科衛生士が高い技術・スキルを習得し、成長に繋がっている。
<第二部> 歯科衛生士へのインタビュー
大澤歯科衛生士
「藤沢歯科で働く上でのやり甲斐とは?」を聞いてみた!
藤沢歯科では、歯周病専門医がいて、皆同じ目標を持って働いています。先生と歯科衛生士の考えが一緒だと物事が円滑に進み、皆で「歯周病治療をやって行こう」と言う一体感を感じました。メンバーが皆同じ目線で働けるため、患者さんにとって何ができるのかをより考えることができるようです。「一人だけじゃないというのがすごく良く、働きやすい環境」と大澤歯科衛生士は熱く喋り始めてくださいました。
来年、日本歯周病学会認定歯科衛生士を目指して資格取得できるスタッフが2名います。チャレンジを後押ししますが、次のステップに向けて皆やりたい事が決まっているので、それぞれ目標に向かって進んでいます。これらは患者さんに還元したいという想いがあるからです。
歯科衛生士が目指す目標はどの様に設けられているのか少し教えていただけますか?
近い目標として、1症例を選んで学会で発表するポスター発表があります。初期治療からメンテナンスまで、1年以上メンテナンスを継続している事などの条件を満たした患者さんを自分で選びその症例を発表します。治療からメンテナンスまでは色々と道のりがあり、2~3年ほどかけてポスター発表をします。その後、日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士を順に取っていく事が次の目標としています。また雨宮院長が日本口腔インプラント学会専門医なので、その先を目指すのであればインプラント認定歯科衛生士を目指すスタッフもいます。今年1名チャレンジしてみたい、とういうスタッフが出て学会に入会し、実務を積んでいるところです。
コロナ前までの発表は大きなポスターを作成してきましたが、コロナ禍ではオンラインになり、ポスター発表のデータ作りをしていきます。1症例を決め、治療計画等、先生と話し合って決めて、治療内容や自分自身が関わった事や考察をまとめます。この抄録は学会誌にずっと残るので、何度も確認し、調べて作り上げていく必要がありますが、それは患者さんのためにも、自分のためにもなるのでとても良い機会となります。
発表に向けては先生や先輩歯科衛生士によるチェックがあり、本人は勿論大変ですが、周りも大変です。(笑)でも、それだけ時間を掛けて考えて一つの症例をまとめる機会はなかなかないので、一度取り組むと患者さんに対する対応も変わるので貴重な経験になります。
ここ2年のコロナ禍で何か変わったことなどございますか?
藤沢歯科は、診療スペースが半個室で、それぞれ十分なスペースがあり、非常にありがたかったです。感染症が拡大する中で、もともと患者さんが安心してもらえる環境が最初から整えられていたことが幸せだなと感じました。
またリモートになり、若い人も自分の健康を考えるようになったと思います。自分のお口のトラブルに気づかれて、自ら来院する方が増えたのが、変化としてすごく感じました。これまで忙しくて来られなかった方が時間を作って来院するなど、少しずつですが変わって来ていると感じます。その他、そもそも人と会う機会が減り、会話が減り、口角が下がってきたなどの相談も最近増加傾向です。
永瀬歯科衛生士(衛生士としては7年目、2021年3月に藤沢歯科に転職)
藤沢歯科を選んだ理由や就職後の印象をお聞かせいただけますか?
全国的に専門医が数少ない中で、患者さんに沿った治療方針・専門分野を活かした提案をしているので、全国から院長を頼って来院する患者さんが多数いる。専門医の下で是非、私も一緒に参加し患者さんが良くなって姿を見ていきたいと思った事が1点目。あと歯科衛生士自体も日本歯周病学会などに所属しており、最新の情報を取り入れて常にアップデートし、患者さんの健康のためのご提案、サポートをみんなでしているところに魅力を感じ、私も自分を高めながら一緒にやって行きたいなと言う想いから藤沢歯科への就職を選ばせていただいた。
就職後、感じたのは、藤沢歯科はやっぱり全然違うということ。診査内容も今まで限られた治療の中でうちでは矯正ができないから矯正の先生に委託しようか、インプラントはこちらの先生に紹介させてもらおうとか、委託する際に専門分野の先生に頼むことが一般的に多いのかなと思うが、ここではむし歯があればむし歯の治療、インプラントが必要であればインプラント、歯並びを整えるとなれば矯正もできる。
専門の先生に診てもらい総合的な医療ができることで患者さんの選択の幅が広がる医院はなかなか無いのではないかと思う。
今後目標とするところは何ですか?
「予防」がもっと当たり前になって欲しい。今となってはメンテナンスで3,4ヶ月に一度医院に通うのが当たり前になって来てはいるが、それでもまだ「何年ぶりに来た」とか、「痛くなったので来た」と言う方が絶えない。そもそも、「むし歯も歯周病もならない方法があるんだよ」という事を知って頂いて予防を当たり前にするために広まって行ったらいいなと思う。
生活習慣であったり、ライフスタイル、ライフステージで皆さん忙しい中、歯の事ばかり考えてはいられない。またメンテナンスに来ていただいている方々でも来院は年4回程度、後の361日はお家で患者さん一人一人に何が必要なのか、何ができるのか、自発的にできるように正しい情報をこちらから提供して行ければいいなと思う。患者さんが持つ力、免疫力を最大にできるように栄養の事であったり、噛むこと、唾液の事、飲み込む力の事などもお伝えしていきたい。
永瀬さんにとって衛生士の魅力とは何ですか?
「お口のサポート」ができることです。困っている事を解決する事もできるし、健康に導くためのサポートもできる職業だと思っていて、その為には自分自身もアップデートして行かないといけないが、そう言う事ができる数少ない職業だと思う。看護師の場合は、怪我した患者さんを治療して、治りましたお大事どうぞで終わるが、歯科衛生士の場合は治療から関わることもできるし、予防として通っていただく事で一生、患者さんと付き合っていく事ができる点は魅力がある。その地域の患者と一生付き合って行ける素晴らしい職業だと思っています。
その他、何か読者にお伝えしたいメッセージなどございますか?
藤沢歯科では、静脈内鎮静法とういう無痛麻酔で痛みのない治療も提供できますが、そもそも「痛みの無い治療」とは予防の事であり、予防がシッカリできていれば悩みも無ければ痛みもない、こちらも痛みを与えなくて済む。虫歯も歯周病も細菌感染から始まるものですが、虫歯菌や歯周病菌を持っている人が必ずしも発症するものではなく、防ぐことができる、まずはそれを知って頂きたいです。歯は6歳から大人の歯が生え始め、それを100歳まで90年以上も大事に使わないといけないものなので、むし歯も歯周病もなるのが当たり前ではなく、それを予防するためにも是非、「歯科ドック」を受けて頂きむし歯や歯周病の有無だけでなく、検査をしてリスクを知って頂き、ご自身の現在地を知って頂ければと思います。グーグルマップもそうですが、ゴールがあり、そこに行きたい時に自分の位置が分からなければどう進めば良いのかも分かりません。その現在地を知って頂くための検診が歯科ドックです。それをまずは専門医の先生が診断し、私達、衛生士で健康な方向に導いていくサポートをさせて頂きたいなと思っております。
真壁歯科衛生士(衛生士学校卒業後に新卒で藤沢歯科に就職)
衛生士学校を卒業して藤沢歯科への就職を決められた理由は?
私も専門学校時代に歯科衛生士の認定医がいらっしゃる医院を探しており、本当に数少ない中、藤沢歯科の雨宮院長がお持ちであったこと、また新卒なので一年目としてたくさんの事が吸収できる医院を探しており、こちらは専門医の先生や知識豊富な衛生士の方々がいる『学べる環境』が整っていたことから藤沢歯科を選ばせていただきました。
実際働いてみて、やり甲斐などはどんな時に感じましたか?
まだ経験が浅いが、少しずつ患者さんも持たせてもらえており、その時、処方した歯間ブラシの大きさなど、患者さんに提案して自宅で使ってみて頂き、次回来院時に、どうだったか聞いた際に「本当に良かったよ!」とか「すごく重宝だね!」とか喜んでもらえたのを聞いと時は、すごくやりがいを感じた。あと、患者さんから「ここはどうやって磨くの?」と患者さんが積極的に口腔内の状態を向上するために心を開いてくれた時は頑張らなきゃなと思いました。
患者さんとのコミュニケーションで気を付けているところは?
とにかく、患者さんの話を聞くようにしています。口腔内を見て、磨けていなかったとしても、たぶん理由があると思うので、そこをシッカリと聞くようにしています。もしも、その理由がどうにもできないこと(家族の介護など)だったら、そんなに言わないようにして、妥協点を見つけつつできる範囲の事をやってもらえるようにアプローチしていくようにしています。
真壁さんにとって衛生士の魅力は?
お口からアプローチできること。全身疾患とも繋がっており、口腔内を綺麗にすると治ることもあります。永瀬さん同様に、看護師とはまた違う面でアプローチができ、それを手助けできると言うこと、また通って頂ける患者さんと一生繋がって、一緒に頑張っていける姿を間近で見れると言うのが魅力的な点だと思います。
その他、何かお伝えしたいメッセージなどございますか?
歯が痛くなってから来る人がまだまだ多いです。でも治療を一度でも行うと歯にダメージを与えるので、歯の寿命は当然短くなります。また人工物と天然歯を組み合わせると、歪がどうしても出て来ますし、その隙間からまた虫歯になってしまいます。天然の歯をどれだけ守っていけるかが大切です。天然の歯はお金では買えないので、それを守るための行動から始めて欲しいです。 人間ドックは、病気が見つかると死にも関わって行くと思うのですが、歯科ドックは「歯だからいいや」と皆さん思いがちです。でも歯周病の悪化が、糖尿病の悪化に繋がったりと全身疾患と繋がっていますので、そこに関心を持ってもらえるようにして行きたい。歯や口腔内が健康な人は、生活においても健康なので、全てにおいて健康であるために口腔内も健康であって欲しいと思います。
<第三部> 今後の展望
藤沢市民の口腔の健康に寄与したい!そして歯科衛生士の価値を高めたい!!
現在、藤沢市民の歯科検診受診率は10%以下。既に院内に『歯科ドック』を導入しているが、将来的には藤沢市と連携していきたいと考えているとのこと。歯科ドックを実現することで、地元藤沢市の口腔の健康に寄与することが目的だ。
また、予防歯科を支える上で歯科衛生士の存在が重要なので、その存在価値を地域住民に広くアピールしていきたい。歯科衛生士さんからは、「地元藤沢地域の方と関われる仕事がしたい!」「口腔の健康は、全身疾患との関連性もあるので、患者の口腔内のサポートをすることで健康に導きたい!」」という熱のこもった話しもあった。「患者さんや患者さんの家族にも予防歯科に取り組んでほしいし、予防歯科の大切さをもっと広げていきたい」と。
最後に院長からは、「良い歯科医師、そして歯科衛生士との出会いを大切にしてほしい。出会える場を提供していきたい」と素敵な笑顔で語られた。
弊社近隣在住の社員も通い始めている。その流れを後押ししたいと強く感じている。
<編集後記>
取材にご協力いただいた藤沢歯科の皆様、本当に有難うございました。
当初一日で取材の予定でしたが、院長や歯科衛生士さんの熱い想いにより、後日再取材をさせて頂くことになりました。取材を通じて、何より感じたことは「とにかく院長が歯科衛生士・スタッフ思いであること」です。
院長は、雨宮啓先生というお名前なのですが、歯科衛生士さんからは「啓先生、啓先生」と愛称で呼ばれていて愛されていると感じましたし、その仲の良さと信頼関係に心が温まりました。
患者や予防歯科に対する高い意識、同じ志があるからこそ、信頼関係がうまれ、良い人間関係が築けるものだと感じます。今回、取材訪問させていただいた藤沢歯科には改めて感謝いたします。
素人の記載による稚拙な文章・表現について、ご理解の程よろしくお願いいたします。
「当方見聞録」の取材を希望する医院については、ご連絡お待ちしております!
2021年11月
マルコ・ポロリン Jr
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