Skip to main content

ページデンタルクリニック:大矢あずささん

衛生士の魅力は、患者さんの人生の一部に寄り添えることです

幼少期に通っていた歯科医院の思い出はありますか?

 むし歯ひとつない兄とは対照的に、私は何度か治療をしに母と歯科医院へ行ったことを覚えています。お姉さんが優しかった印象はありますが、歯を削る音、独特なにおい…と決して行きたい場所ではありませんでした。今思えば、むし歯になりやすい習慣をしていたと思いますが、治療をすれば治ったと思い同じことを繰り返していました。


患者さんとのコミュニケーションで心がけていること何ですか?

 相手を知ろうとすることです。口腔疾患の原因やリスクは患者さんの生活習慣の中に隠れており、それを改善しないかぎり、治癒に導くことは難しいです。患者さん自ら生活習慣などお話してくださるよう “あなたのことを知りたい” という気持ちで接するようにしています。


「あなたのことを知りたい」という気持ちを伝えるために、具体的にどのような言葉やアプローチを心がけていますか?

 患者さんの話に対し「そうなんですね」 「それは大変でしたね」など、話に共感し相槌打つことです。その際、身体を向け手を止めて話を聞くことを心がけています。ある程度の距離が縮まったら、その方の生活や趣味、家族構成などプライベートに触れる質問を必ずするようにしています。その話を覚えておき、再度話題になることで、患者さんの心がほぐれたり本心を話してくれる時もあります。


患者さんとのコミュニケーションで困難を感じた場面と、それをどのように克服したかを教えてください。

 皆さんが予防を求めて当院にいらっしゃる訳ではないので、そのような方に当院の方針や流れを理解いただき進めていただくことが難しいと感じる場面もあります。伝えたいことをまずは自分が理解し、自分の言葉で伝えられるよう紙に起こしたり、話す練習をしました。
 最終的な理解をすぐに求めるのではなく、患者さんの気持ちやペースを尊重しながらも、「サポートしたい」という気持ちを言葉でも態度でも示すようにしています。

10年後も通ってほしいと、患者さんの未来を想像する時、その中に衛生士である自分もいます

患者さんの些細な変化に気づくために、普段どのようなトレーニングや意識付けをしていますか?

 日々の診療では口腔内写真やデンタルを “比較する” ということを意識するようにしています。日常生活では3人の子どもの母親であることが観察力を高めてくれていると思います。
 また自分の心に余裕を持つこと、自己管理をして患者さんの変化に集中できる環境を作ることも大切だと思います。


メインテナンスを通じて患者さんから学んだことや、自分が成長したと感じた瞬間を教えてください。

 当然のことですが、患者さん一人ひとり違った個性を持ち、それぞれの価値観のもと生活しています。患者さんがどのように健康に向き合っているのかを知り、その方の生活背景や価値観を考慮しながらアプローチすることが大切だと学びました。すぐに変化を求め、短期的な目標にとらわれていた時より、広い視野を持てるようになったのかなと思います。
 新卒の頃は、目の前のプラークや歯石を取るのに必死で、仕事をこなすことにやりがいを感じていたと思います。現在は、対患者さん、対チームを通して、それらを実感することが多く皆さんに感謝しています。


新卒時代から現在に至るまでの大きな転機や、価値観が変わった出来事を教えてください。

 私は新卒後2年半で歯科衛生士を辞めています。その後5年半を経て当院へ就職しましたが、知識や技術も0に近い状態でした。そのため、今までとの大きなギャップや衝撃というより、すっと心に入ってきて、もっと学びたいという気持ちが大きかったと思います。


他の歯科衛生士や後輩へのアドバイスとして、どのように「成長」を捉えてほしいと考えていますか?

 当初私は仕事ができるようになることが成長と捉えていました。 “早く即戦力に” そんな気持ちで働いていました。先生方や予防歯科に関わることで、成長は「技術の向上」だけでなく、「心」や「視野」の広がりだと感じます。自分の成長が患者さんやチームに貢献できるよう、前向きに努力していきたいです。


10年後も通ってほしいと、患者さんの未来を想像する時、その中に衛生士である自分もいます

仕事を続けるうえで、大切にしているモチベーションや考え方は何ですか?

 何年も通院されている患者さんと接する中で、自分の存在もその方の生活の一部になっていると実感することが励みになります。患者さんが「痛いから治療をしに来る」から「健康を維持するために通う」という意識に変わる姿を見た時、モチベーションにつながります。


歯科衛生士を生涯続けますか?

 続けていると思います。5年、10年後も笑顔でメインテナンスに通ってくださっているといいなぁと、患者さんの未来を想像するのですが、その先には歯科衛生士である自分もいます。
 未熟な自分に落ち込むこともありますが、日々成長して私に会うことで笑顔に健康になれる、そんな存在になれたらいいなぁと思います。


歯科衛生士の魅力は何ですか?

 患者さんと長いお付き合いができることです。治療で終わりではなく、予防やメインテナンスを通じて、患者さんの健康を長期的にサポートしていきます。患者さんと長く付き合いながら、その人生の一部に寄り添えるのは、歯科衛生士の特別な魅力です。


自分が目指す理想の歯科衛生士像を教えてください。そして、そのためにどのような努力を続けていますか?

 「健康の伴走者」として、患者さんと一緒に歩み続ける歯科衛生士でありたいです。患者さんにとってポジティブな影響を与えられる関係性だといいなと思います。自分の弱みを理解し、常に素直でいること、学ぶことを続けていきたいです。


X Instagram