【愛知県限定】愛知県における『富士通OP歯科検診』の説明会(12/21(火)開催)
「詳細・お申し込み」につきましては以下よりご確認いただけますでしょうか。
https://keep28-cloud.com/news/20211221/
皆様のご参加をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
長年に亘り歯科の世界では、生活者に対して一方的な情報提供が行われてきました。これを双方向の関係性に変えたのが「富士通予防歯科クラウドサービス(以下クラウドサービス)」です。つまり生活者との情報格差を埋めることにより、歯科医療の受診の在り方を変えるためのツールなのです。
情報を共有することで、生活者の意識や理解度、歯科のリテラシーをも向上させることが期待できます。同時に医院の透明性も担保されるため、信頼関係の構築にも大きく貢献してくれます。実際に利用されているOP(オーラルフィジシャン)医院の感想でも、「メインテナンスを提供する要因になった。」「健康維持のサポートや提案がしやすくなった。」等、クラウドサービスの有用性を裏付けるものが多いです。
また私達OP医院と富士通社との関係はクラウドサービスだけに留まりません。ご存知の方も多いと思いますが、よりスケールアップしています。その一つに富士通グループ社員の歯科検診の受入れ先として、OP医院にご支援を募っています。言わば「“生活者自身”が“生活者”による“生活者”のための新しい健康維持・増進」を図っていただける様な新しい仕組みづくりに取り組んでいます。将来的には日本全国でこの様な歯科医療のかかり方の標準化を目指していますが、まずは富士通社がその先がけとなっていただいている訳です。決してクラウドサービスの利便性や検診による経済的恩恵で共同している訳ではございません。
かつて皆さんがOP医院へと転換を図った際、多くの困難を乗り越えてこられたかと思います。同じく富士通社もクラウドサービスの開発に始まり、富士通健保組合と連携し歯科検診制度を立ち上げるまでに多くのご苦労をいただいております。“それぞれ”が“それぞれ”の物語を共有し、いずれもが自らの理念に沿った生き方を選択している訳です。長期的な視野を持って社会に貢献しようとする者同士が手を組み、社会の改革を進めようとしているのがクラウドサービスの実態です。決して情報共有だけが目的ではございません。
この共通する理念と経験から生まれる社会的イノベーションがもたらす未来には、日本全国に健康維持を目的とした歯科医院に通う文化が根付いているはずです。それを実現し可能にするのが我々OP医院です。熊谷崇先生(日吉歯科診療所:山形県酒田市)がつくってくださった歯科医療の歴史にぜひ皆さんもご参加ください。今後クラウドサービスはOP医院にとって口腔内写真、サリバテスト、OHISと同じく標準的なシステムになって参ります、未導入の方はこの機会にご検討いただけましたら幸いです。
去る4/22(木)、弊社健康推進本部が主催となり、「富士通グループ全社員向け予防歯科セミナー「第3回 令和時代の予防歯科」を実施いたしました。なんと約3000名以上の申込みがあり(参加率95%)過去最大規模の社内セミナーとなりました。他の啓蒙セミナーと比較しても圧倒的に高い数字であり、弊社社員の予防歯科に対する関心の高さが伺えます。
またセミナー後のアンケートでは約半数の方に回答をいただきました。その中の問いに『歯科医院からの情報の提供を希望する』に対して、約90%が希望すると回答いたしました。
特に予防歯科医院をどのように探せばいいのか?というお声を非常に多くいただいています。全国で82,000人いる社員が“今”予防歯科医院を探そうとしています。ぜひOP医院の皆さんにご支援いただき「弊社社員の歯科検診の受け入れ」及び、「クラウドサービス」のご利用、口腔内情報の提供についてもご協力いただきたいと思っております。
本サービスは予防歯科医院と患者様をつなぐためのコミュニケーションツールです。通院される患者様の口腔内写真、レントゲン写真等に衛生士さんのコメントを添えて「医院PC・タブレット端末」から「患者様の端末」に届く仕組みになっています。そのため患者様は時間や場所に関係なく、いつでもご自身の口腔内情報(過去の履歴含め)を確認することができます。
主な機能は以下の2点です。
世間には予防歯科を掲げている歯科医院がたくさんあります。ただし玉石混交の状態で存在しており、生活者目線ではどこが良い歯科医院なのかはわかりません。
そこでホームページの検索順位、SNS、口コミサイト等を参考にされる方も多いでしょう。しかしこれらはお金で解決できてしまうのです。歯科医院がお金さえ払えば生活者の目につき易くすることができます。一方でクラウドサービスに関して言えばお金では解決することができません。なぜなら患者さんに提供する資料は歯科医院で作成する必要があり、その資料とは「歯科医療者が診療を行ってきた結果であり、偽りのない事実」だからです。
印刷で十分だと言う方もいらっしゃいますが、口腔内・レントゲン写真等は拡大すればする程その差は歴然です。例えば自分の診療がちせつだった場合、印刷では分からずとも、電子データではそれも患者さんに伝わってしまいます。クラウドサービスを利用するということは、良くも悪くも情報が筒抜けになるのです。
他医院での治療結果に疑問を感じて、当院に来院された患者さんがいました。早速レントゲンを撮影すると、そこにはずさんな治療結果が写っていました。当然ながらこのような歯科医院はクラウドサービスを利用できないでしょう。それは悪い情報も一目瞭然になるからです。つまり情報をオープンにするためには「質の高い歯科医療」が必要なのです。
われわれOP医院の様に予防歯科をきちんと行い、クラウドサービスで情報を提供することが、歯科医療の価値向上に繋がると信じています。これは名ばかりの予防歯科医院には絶対に真似できません。
富士通の乗次さんの説明通り、クラウドサービスには主に2つの機能があります。当院ではこの「歯の健康ファイル」と「診査結果報告書」について、以下のタイミングで患者さんにお送りします。また患者さんに対する説明は「歯の健康ファイル」をもとに行っており、後で患者さんが一人で見ても理解できるような資料作成を心がけております。
・歯の健康ファイル
患者教育時、覚えていただきたいこと、お伝えしたい事項がある時に送信。
・診査結果報告書
歯周精密検査、PCR検査(染め出し)結果を送信。
どの患者さんにどの資料を送信したか、患者さんごとに表を作成しカルテに挟んでいます。これにより歯科医師、歯科衛生士、アシスタント全員で情報を共有しています。
上の3つの項目は同日に行うようにしています。本来患者さんの利用登録は患者さんの端末(スマホ・PC等)からご自分で登録していただくのですが、登録用のメールが届かない、メールを確認してもらえなかったことが多々あり、クラウド利用希望者にはその場で登録していただくことにしました。データ作成を分業化することにより、トリプルチェック体制、業務負担の軽減を実現しました。
当院はDentalXRシステムで患者情報を管理しています。データ作成はiPadで行っており、富士通デザイン社が製作した、患者データ作成用「歯の健康ファイルクラウドテンプレート」を当院用にアレンジしたマスタースライドを使用しております。
基本的にはマスタースライドにコメントを書いたり、画像を貼りつけたりするだけですので作成自体は容易になっています。
・利用者数
約3ヶ月間で95人にご案内(2021/3/1~2021/6/15)
-希望する:72人
-希望しない:23人
・年齢構成
20代~50代が多く、60代でその半数となり、70代以降はほぼ利用者がいない。利用しない理由とは・・・
-ガラケーを利用している。
-スマホだが通話以外の操作方法が分からない。
・クラウドデータの閲覧状況(未読/既読)
<歯の健康ファイル>
合計54/86人(未読率39.5%)
-初診検査:24/45
-初期治療1:6/7
-初期治療2:9/8
-再評価1:3/5
-再評価2:12/21
クラウドサービスによって患者さんの意識に変化が起こり口腔内を「自分ごと」として捉えてくれるようになった。また情報をオープンにすることによりさらなる信頼関係の構築も期待できる。
口腔内写真やレントゲン写真を提供し情報を開示することになるため、しっかりしたものを撮影しなくてはならない。また患者さん自身が治療前後の写真を比較して見れるようになるため、より責任感を持って仕事に取り組める。
新しいシステムの導入は大変なこともありますが、患者さんと歯科医院の双方にメリットがあるサービスだと思います。今回紹介した活用事例・利用状況については、あくまでも当院の一例です。正解はございませんので、各医院それぞれの診療スタイルで上手く活用していただければと思っております。
西真紀子先生が寄稿した記事(予防歯科で達成すべきアウトカム:クインテッセンス2021年6月号)をご紹介します。その中で西先生は『成人患者において長期メインテナンスで1人あたり平均喪失歯数が1本』という数値を提示したいと記述されています。引用データとして『アクセルソン博士の30年間』、『日吉歯科診療所の15年以上における結果』を提示されています。
アクセルソン博士の冒頭6年間はコントロール群とメインテナンス群がありました。両者を比較するとメインテナンス群のう蝕の発生状況、歯周炎の発生状況は明らかに低くなっています。これらのことから、OPとして予防歯科を実践するからには、きちんと結果にこだわることが重要だと思います。
これらを減少・抑制させる。
クラウドサービスを上手に利用することで、より価値の高い予防歯科が提供できると思います。さらにOP医院同士が連携することで質の高い予防歯科が日本全国へと拡がるのではないでしょうか。その先の理想として「OP⇔OP、OP⇔患者」を繋ぐネットワークが構築できたら素晴らしいと思います。
今後の目標は患者さんの帰宅途中にその日の診療内容を届けたいと思っています。「スマホで手軽に確認できる=安心」を提供したいのと同時に、患者さんにとって「届きやすい・使いやすい」というサービスを追求したいと思っています。また治療データについては質を担保できる様、必ずその前後の写真を提供するようにしています。私はこのことを「OPEN DENTISTRY」と呼んでいます。
一般的に医療は情報が閉鎖されている分野であり、患者さんと医療者の間には少なからず隔たりがあります。1963年、東京大学名誉教授である冲中重雄氏(内科学者)は最後の講義で『私の誤診率は14.3%です』と語り周囲に衝撃を与えました。しかし、その衝撃というのは、医療者と生活者で全く逆のものでした。その数字は医療者から見るととても低く、生活者から見るととても高いものと捉えられたのです。医療は生体を扱う難しい分野のため必ずミスが起こるものだと思います。ただミスも含めて全体情報を公表するということに私は意味があると考えています。
熊谷崇先生は本の中で『昔は、写真代だけで、ひと月30万円かかったんです。写真屋に払った総額で、土地を買えると思う。でも、一度もやめようとは思いませんでしたよ。予防歯科において、写真の価値は、土地よりもはるかに高いと信じていたから。お金には、代えられないのです。』と仰っています。
現在はデジカメの普及によりフィルム代や写真を保管するスペースは必要ありません。そのため多くの歯科医師が写真撮影を取り入れています。ただ40年前のその環境の中で、規格性の高い写真を継続して撮るということを実践できる歯科医師がどれだけいたのでしょうか。
私の好きな言葉にピーター・ティール(PayPal創業者)の『賛成する人がいない、大切な真実とはなにか。』という言葉があります。40年前の歯科界においてそれに該当するものは、口腔内写真をきちんと記録しておくことだったと思います。コストがもの凄くかかるうえ、すぐに利益には結び付きませんが、熊谷崇先生は正しいと思ったからやり続けてきたわけです。
先述の通り、現代では口腔内写真は撮影しやすい環境が整っているため、多くの歯科医師が実践しています。そのため今は「賛成する人がいる、真実」になりました。では現代の歯科界でピーター・ティールの言葉に該当するものは何か?と考えますと、私はクラウドサービスではないかと思っています。医療業界は閉鎖的ですので、今後は情報をオープンにするということ自体が力を持ってくるのはではないでしょうか。
引き続き富士通社には私達と一緒にがんばっていただきたいと思っております。歯科医療者が歯科界を良くしようと思っても、やはりテクノロジーの部分で限界があります。今後も社会問題の解決に向けて、一緒に汗を流すパートナーであってほしいと願っています。
引用)竹田晋也,歯を守れ!予防歯科に命を懸けた男 日吉歯科診療所・熊谷崇の挑戦,牧野出版
現在、私は38歳であり、熊谷崇先生が酒田市で開業した年齢と同い年です。今後の歯科医師人生も永く何が正解かは分かりませんが、自分なりに正しいことを考え、その道を歩んでいきたいと思っております。この様な歯科医師としての生き方を教えてくれた熊谷崇先生、和久田一成先生(わくだ歯科 静岡県浜松市開業)には感謝しております。そしてOP医院の皆様とは、ぜひより良い社会を目指して、予防歯科を広める仲間として一緒にがんばっていきたいと思っております。
本日はどうもありがとうございました。
本セミナーは富士通健康推進本部、富士通健康保健組合、富士通Japanヘルスケアソリューション開発本部の共同開催です。ヘルスケアソリューション開発本部では、世界的に予防歯科学で高名な熊谷崇先生(日吉歯科診療所:山形県酒田市 開業)と共同で「富士通歯科クラウドサービス」を開発し、予防歯科医院向けにサービスを提供しています。
また社員への啓発活動にも取り組んでおり、過去に蒲田・品川の健康支援室と共同で予防歯科セミナーを開催し大変好評だったため、このたび全社健康経営推進施策の一環として開催するに至りました。お申込者は約3000名と当初の予定人数を大幅に上回り、皆様の予防歯科への興味、関心の高さを実感しています。
この度、初となる歯科の全社イベントを開催いたします。初開催ながらお申込者3000名というのは、過去最大規模の社内セミナーであると同時に、我々のこれまでの成果でもあります。そして皆様の反応は講演後のアンケートを通して、口腔から全身の健康へと繋げられる様に、次の施策を考えるための岐路にさせていただきたいと思っています。
約30年前までは80歳で2人に1人が総入れ歯という時代でした(2016年歯科疾患実態調査)。その後80歳で20本の歯を残す「8020運動」が開始されました。ただ時代ともに寿命も延びたため、そう簡単に口腔内のトレンドは変わりません。歯の減少を年齢のせいにする人もいますが、これがご自身の指だったらどうでしょうか?ことの重大さが分かるのではないでしょうか?あくまでも8020運動はむし歯洪水時代の旧常識です。現代の新常識は「KEEP28」。いくつになっても28本、全ての歯を守るための歯科医療を提供することが、「歯科医療の新しい価値・新しい形」だと考えます。
喪失する原因の90%は「むし歯・歯周病・破折」です。これらの共通する問題点はただ歯を失うだけではなく、歯科にかかりながら口腔の健康を損ねている点です。
またスウェーデンにあるアクセルソン博士の診療所では、メインテナンスを30年間(1972~2002年)継続調査したデータがあります。以下のデータからわかることは、歯は加齢により喪失するものではない。つまり、良質なメインテナンスプログラムは余計な治療を減らし歯の喪失を最小限にするのです。
20~35歳 | 36~50歳 | 51~65歳 | |
~30年(257人) | 0.4 | 0.7 | 1.8 |
出典)Axelsson et al. (2004)
・口腔内撮影
まずは口腔内を様々な角度から撮影し12枚のカットに収めます。手鏡等でご自身が確認する場合はわずか2枚程の範囲しか見えません。次に染め出しを行い12枚法写真を用いてブラッシング指導を行います。このように視覚化して磨けていない箇所を確認し改善へと繋げることが重要なのです。
・エックス線写真
通常は顎全体を1枚で撮影するのですが、それだと病気の見落としや正確性に欠けますので1本1本細かく撮っています。これによりむし歯、歯周病、過去の治療のクオリティも全て把握できます。
・歯周ポケット検査
4ミリ以上が歯周病の傾向があると言われています。昔に比べて残存歯数は増えてきていますが、同時に歯周ポケットを持つ人も増えてきています。
2011年 | 2016年 | |
35~44歳 | 24.3% | 39.5% |
65~74歳 | 46.5% | 60.5% |
出典)厚生労働省 平成28年 歯科疾患実態調査(2011~2016)
2016年 | |
30歳~ | 41.7% |
40歳~ | 48.0% |
50歳~ | 40.0% |
出典)厚生労働省 平成28年 歯科疾患実態調査(2016)
よくネットニュース等で話題になっている「30歳以上の8割が歯周病である」というのは、上記表の4mm以上のポケットと出血を足した数字です。
歯周病は真面目に取り組む(歯石除去・ホームケア)と治ります。「治る=細菌を取り除きバリア機能を回復させる」ことを言います。ところが細菌を取り除いても治りづらい歯周病があります。
以上の要因によりメインテナンスだけでは不十分な場合があります。ここで大切なのはどの要因を見直すべきか計画を立てメインテナンスに入ることです。
歯科検診ではむし歯の進行度合いにより分類分け(C0~C4)を行います。歯からミネラル分が流出した初期症状でも単に様子を見ましょうと言うのではなく、「危ない状態のため、普段から○○に気を付けて様子を見ましょう」と細分化することが重要です。
これらの要因によりメインテナンスだけでは不十分な場合があります。ここで大切なのはどの要因を見直すべきか計画を立てメインテナンスに入ることです。
歯は削って詰めてもケアをしなければ10年程しか持ちません。再治療の原因は治療箇所の二次う蝕であり、半数近くの47.8%を占めます。この様に治療を繰り返すと歯は死にます。歯科医院に通いながら歯は死ぬことになり、歯科医師は人生の大半を治療のやり直しに費やすことになるのです。
むし歯にならないために「歯ブラシをしましょう」と言いますが、日本人の ※90%以上が毎日行っています。ところが日本人の90%以上が磨き残しがあります。ただ「歯ブラシをしましょう」というのではなく、正しくは「効果的なプラークコントロールをしましょう」というのが適切です。プラークとは歯の表面に付着している細菌のかたまりです。歯ブラシだけでの除去はできませんので、あわせてフロスや歯間ブラシを使用することが効果的です。
※出典「歯科医療による健康増進効果に関する研究」第1回追跡調査報告書2016年6月 公益財団法人8020 推進財団
一般的な検診は、むし歯があるかないか、被せ物や詰め物等を記録するだけの無機質なものでした。そのためご自身の歯が全部で何本あるか等、基本的なことですら認識されている方は少ないのではないでしょうか?そこで、検診結果をより効果的にするために、富士通Japan株式会社 ヘルスケアソリューション開発本部と共同で開発したのが、富士通予防歯科クラウドサービスの「診査結果報告書」です。
上記の報告書は口腔内を数値化したシンプルなデータのため、誰が見ても口腔内状況を理解できます。この様なデータを日本人全員が持つことになれば、予防歯科が普及した社会になったと言ってもいいと思います。体重計が目の前にあれば乗るように、歯も同じで傍に数字があるということが凄く大事なのです。
予防歯科を普及させたい我々と生活者には大きなギャップがあります。一方で本日は約3000名の方々にご参加いただいていることからも、その関心の高さが伺えます。我々の予防歯科のメソッド・フィロソフィーと富士通Japan社のIT技術を融合させることで、より効果的なメインテナンスの提供に加え、さらなる予防歯科の普及ができるのではないかと考えます。その結果「KEEP28」の価値が、社会にとって意味のあるものになるのだと信じています。これこそが「デジタルトランスフォーメーション」ならぬ「デンタルトランスフォーメーション」ではないでしょうか。
予防歯科は今からでも間に合います。
多少むし歯があっても間に合います。
50歳からでも60歳からでも間に合います。
始めましょう、予防歯科。
現在メインテナンスの担当患者は2090名おり、昨年は1012名来院されました。その来院された方を年代別にみると、50代、60代、40代の順に多く、20代が極端に少ない傾向にあります。若い世代からの予防が大事ですので、今後これを変えていかなければならないと思っています。
ゆすぎを1回にする理由は、口腔内により多くのフッ素を留めておくため
当院ではむし歯リスクを9項目に分けて検査します。それによりご自身のウィークポイントを知ることができ、これがむし歯を予防するうえで最も重要なのです。 またリスクには変えられるものと変えられないものがあります。その一つがミュータンス菌であり、この菌が多いとむし歯になるリスクが高くなります。人によりミュータンス菌の数は違うため、一言に甘いものを控えましょうと言っても意味がありません。
目標:ミュータンス菌を感染させない。
1歳半から3歳までの間に両親や祖父母から感染しやすいため、親子でむし歯予防を。
保護者へ仕上げ磨き指導。本人には歯ブラシを持つ習慣から。
目標:乳歯をむし歯にさせない
この時期の生活習慣が今後のむし歯のなりやすさを左右します。
保護者へ仕上げ磨き指導。本人磨きの練習開始。
目標:永久歯をむし歯にさせない
生えたての永久歯が最もむし歯リスクが高い。保護者より本人との対話を大切にする。
仕上げ磨きに頼らず本人磨き。保護者へ仕上げ磨き指導。
目標:むし歯と歯肉炎から守る
来院が途絶えやすい時期。とにかく来院してもらえるように。
成人と同じレベルで磨けるように。
若いうちは特に問題がないため危機感がありませんが、40代になると自覚症状がなくても病気が進行している場合があるため、定期的に歯科に通うことをおすすめします。
60代を過ぎると歯を失い栄養をとることが難しい方も多くいるため、若いうちからケアをすることが大切とお伝えしています。
初診検査後すぐにメインテナンスに移行できるわけではありません。なぜなら口の中がある程度健康でケアをしやすい環境に整える必要があるからです。
初診検査後すぐに治療に移行するわけではありません。検査後の「説明1」が重要なのです。なぜなら現状を知り、過去の治療を把握し、未来に起こりうるリスクを知ったうえで治療に入る必要があるからです。
ここでいう「初期治療」とは、口の中を知り効果的なケアの方法を取捨選択し、変化を実感する時間です。実際には染め出し後にブラッシング指導を行いますが、一般的な歯科医院と異なる点は、患者さん自身がお口の問題を自分ごととして捉えて、どのように改善すべきか自発的に行動できるよう意識を変えていただく点です。以上のプロセスを経て治療に入ることが重要なのです。
治療とメインテナンスの間にも3つのプロセスがあります。まず治療後にどのような変化があったかを「再評価」して患者さんに「説明2」を行います。次にホームケア等が継続できていない方に対して「SOT(サポーティブオーラルセラピー)」として自己管理の支援・実践期間を設けます。これらのプロセスを経て、ようやくメインテナンスに移行できるのです。
衛生士の役割として「初診」から「SOT」のプロセスは患者さんのサポート・ガイド役を担っています。そして「メインテナンス」に入ると伴走者となり患者さんと協力しあってお口の健康を守ります。ここは伴走というのが大事で、どちらか一方が頑張っても「KEEP28」は達成できないのです。ぜひ皆さんと一緒に「KEEP28」を守っていきたいと思っております。
A.歯周病菌がどこからやってくるのかはっきりとはわかっておりませんが、家族に歯周病の方がいらっしゃれば、遺伝的な要因で子どもも歯周病になってしまう可能性はあります。
A.私の場合は朝食後に軽く磨き、夕食後にフロスと歯磨きを行います。一方当院スタッフは昼食後にも磨いていますので、それくらい幅のあるものです。先程申し上げた通り。回数に関係なくプラークをコントロールすることが重要です。
A.頻度は3ヵ月~6ヶ月と単純に当てはめるものではなく、歯周病の状態(軽度~重度)にあわせて間隔を決めます。既にメインテナンスに通われていればパートナーである衛生士に相談して決めると良いと思います。
A.むし歯というものはその場で診てすぐに削るものではなく、経年変化を見て判断するものです。そのため、その時々で違う人が判断してしまうと5年後~10年後で副作用が出る恐れがあります。削るという最初の判断は慎重になるべきで、同じ人に診てもらうことを重要です。
しかしながら、同じ人が診ても効果的でない場合は客観的なデータを貰うようにしてください。もし貰えない場合は他の医院に移ることをおすすめします。
A.まずご自身が歯科医院に通い口腔内の状態を知り、どのようなリスクがあるかを知ることから始めてみましょう。
A.予防歯科を行ううえで、子どもに教える様な手鏡を持っての歯磨き指導のみでは不十分です。そのためビジュアライズされた画面に自身の口腔内を映してもらいながら、どこが良くてどこがダメなのか、定期的に教えてもらう方が効果的です。この積み重ねがむし歯・歯周病のリスク管理に繋がり、歯科医院任せではなく患者さんの「自分ごと」化にも繋がります。この様な取り組みを実施している医院が良いと思います。また聞き慣れないと思いますが「OP歯科医院(オーラルフィジシャン)」を推奨します。
一般的に歯の治療は大工仕事に例えられます。多くの歯科医院は図面を持たずに仕事をしていますが、お口の健康を守るうえで本当に必要なのは設計士です。そこで予防歯科で高名な熊谷崇先生(日吉歯科診療所:山形県酒田市)が2000年代初めにOP育成セミナーを創設し私達もそこに参加しました。その設計士の役割については、むし歯・歯周病の2大疾患を生涯に亘り予防を行い、治療が必要な時には最善の選択が出来る人だと思っています。いわば設計士と図面と大工と心の広いクライアントがいてこそ良い作品が生まれると考えます。そのため、このようなセミナーに一般の方が参加してくれることに大変意義があると思っています。
A.基本的なセルフケアは質問の2点ですが、その他となるとリステリン等の洗口液があります。 ただ洗口液にはフッ素が入っていないため、最後に使用すると口の中のフッ素を流してしまうことになります。そのため洗口液を使用する場合は最初に使用しすることをおすすめします。
A.結論から申し上げると、効果がある方とない方がいらっしゃいます。それはプラークの付き方に個人差があるからです。付いている場所、厚みが違うだけでケアの方法が異なります。力任せに電動歯ブラシで磨いてしまうと歯茎が下がってしまうことがあるため、かかりつけ歯科衛生士に一度確認していただければと思います。
A.予防型歯科医院紹介サイト「コミュニケーション・ギア」にて紹介しております。その中でも富士通歯科クラウドサービスを利用し、ビフォー・アフターの記録を提供してくれる医院が良いと思います。データを提供することが質の担保にも繋がりますし、腕に自信がないとできないからです。
【司会】
以上でQ&Aを終了させていただきます。
畑先生・花岡様、本日はどうもありがとうございました。
私達は富士通健康保険組合と連携し、全国の富士通グループ社員とOP医院を繋げる取り組みを展開しております。ただ単にOP医院を紹介するだけではなく、社員が予防歯科の必要性を理解し、自ら行動変容を起こすことが重要であると考えております。そのために定期的に社員向け予防歯科セミナーを開催し、OP歯科医師を講師としてお招きしております。その結果が実を結び、昨年より当社の健康経営方針に「予防歯科の取り組み」が含まれることになりました。 以前は地区別に実施してきた予防歯科セミナーですが、2021年4月より富士通グループ全体に拡大することになりました。また予防歯科をより身近なものにするべく、IoT歯ブラシメーカーとの連携も進めております。これまで当社が培った経験やノウハウをモデル化して、他企業へと拡大し、本取り組みの輪をさらに大きくしていきたいと考えております。
今後も富士通は日本に広く予防歯科を普及させるために努めてまいります。本取り組みは歯科医院の皆様のご協力なくしては実現できません。ぜひご支援ご賛同の程よろしくお願いいたします。
乗次のご案内通り、システム改善と平行し社内関連部門とも連携を進めております。富士通健保組合では社員のメインテナンス費用補助や予防歯科セミナーを開催し啓発・啓蒙に努め、さらに2020年度の健康経営方針には「予防歯科」が加わり、全社員を対象に取り組みを強化しております。
さらなる予防歯科の普及のため富士通健康保健組合と連携し、社員向けの歯科検診制度をOP医院に受入元になっていただく仕組み作りを構築中です。またOP医院と一緒に予防歯科啓発セミナーを実施し、企業連携を通じた新たなサービスの創出に挑戦していきたいと考えております。そしてこの仕組みをモデル化して他の健保組合・企業への展開も進めて参ります。本取り組みは当社だけではなく、OP医院の皆様と一緒に予防歯科の認知・普及に努めて参りたいと思います。ぜひご支援ご協力の程よろしくお願いいたします。
当院は2003年の開業です。当時の日経BP社のアンケートによると、医療機関が好まれる最大の理由は「医師の説明のわかりやすさ」でした。そこで開業時にはまだ珍しかった口腔内カメラ・画像管理ソフトを利用し、情報提供に徹してきました。その理由は、患者の行動変容を促すと同時に、私たちの歯科医療を理解してもらいたいという思いからです。
導入当初、健康ノートからクラウドへの切り替えに不安もありましたが、クラウドの優れた点は紙媒体では限度があった、レントゲンや口腔内画像を高画質で提供できるうえ、口腔の改善具合も履歴で確認できる点です。そのため患者は「健康とは如何なるものかを実感しやすく、その状態を維持することの意義」に気付いていただけます。
導入当初は高齢者からの抵抗を感じましたが、今ではどの年代の方でもスマホやPCを利用されているため、登録後は問題なく利用されています。多くの患者の感想として「頻繁に自分の口の写真や歯周検査結果を見ることはないが、情報を開示してくれていることに安心し満足している」との声をいただいております。また安心して通っていただける様に、院内のコロナ感染予防対策を動画にまとめてクラウドで発信しています。今後も患者自身の情報だけでなく、院内の取り組みについても発信していきたいと考えております。本日、皆様に一番お伝えしたかったことは「クラウドサービスは患者さんと“情報の共有”だけではなく“価値の共有”ができる」ということです。
当院は2009年に開業し、2013年にオーラルフィジシャン育成セミナーを受講しました。本題のクラウドサービスについては2017年のサービス開始当初より導入しております。また医院の外看板にはお馴染の「KEEP28 全ての歯を守ろう!」のロゴを掲げております。
我々利用者も資料を作成する過程で、より患者の状態を理解できます。やはり患者毎にパーソナライズされた資料を作成しておりますので、性別・職業・生活リズム等も考慮してコメント等も記載しております。
以前はメインテナンスの来院サイクルだけでは、モチベーションを保つことが難しい患者が一定数おりました。その対策として、次回来院されるまでの期間に、クラウドで情報提供を実施することにしました。このワンクッションを入れることでモチベーション維持にも効果が表れ、ドロップアウトされる患者が減少いたしました。
当然ながらデータ提供の回数が多いと衛生士の負荷も増しますので、当院も模索しながら実施しております。
診療所では「恥ずかしさもあり口腔内写真をじっくり見ることはないのですが、スマホ端末の場合簡単に拡大でき細部まで確認できるのが良い。」とのご意見や、お子さんの場合は親御さんのアドレスにクラウドデータが届きますので「安心します。」と好評をいただいております。
この様な質問を良くいただきます。患者は残存歯数や無髄歯の数を通して、自身の口腔の状態に興味を持っていることがわかります。私もその都度答えているのですが、毎回聞かれることも少なくありません。これを自分事にして解決してくれるのが「診査結果報告書」です。本システムは直感的でわかりやすい診療カルテが表示されます。むし歯や治療済みの歯の本数でしたり、折れ線グラフで患者の残存歯数やDMFT指数を全国平均と比較することができます。
様々な声がございますが、やはり本数で表示されるため非常にわかりやすいと好評です。「診査結果報告書」は患者に自己解析を促すことができるので、自分事として捉える良いきっかけになるのではないかと思っております。
感染症対策として、タッチレスで使用できるツールを探していたところ、歯科クラウドサービスを導入していることに気付きました。クラウドは「歯の健康ファイル」「診査結果報告書」を患者と共有できるだけでなく、そもそもが情報提供サービスですので、医院独自の資料も自由に共有できるのです。
以上のことからも、以前は紙でお渡ししていた料金表、治療計画書、同意書等をクラウドサービスを利用して提供しています。この様に感染症対策の一環としても活用できますし、結果的にプリントの削減になりペーパーレス化も図れました。今後はこれに留まることなく、新たな活用法を見出したいと思っております。
オーラルフィジシャン育成セミナーは、2004年に山形県の日吉歯科診療所でスタートし、これまでに57回開催されました。2004年~2021年までの歯科状況の変容といえば、当時12歳時のカリエスは2本だったのが、現在は0.2本になり、約10分の1に減少しています。そして80歳の残存歯数においては、当時8本だったのが約15本と倍増しています(歯科疾患実態調査:厚生労働省)。やはりこれも熊谷崇先生が書籍やメディアを通して、啓蒙を行ったり、予防歯科に勤しむ受講生を、全国に排出していった結果による賜物ではないかと思っております。そして、この57期で酒田での開催は終わりとなり、58期以降は僭越ながら私が引き継ぐことになりました。
願いとしましては、熊谷崇先生が約20年近く携わってこられたこの活動を絶えることなく引継ぎ、今後も皆さんと一緒に共有していきたいと思っております。そして企業の方々にも、私達の医療の質に注目していただき企業連携が始まりました。ご興味のある方は、ぜひオーラルフィジシャン育成セミナーを受講していただき、私たちの仲間となっていただけましたら幸いです。
当サービスは医院から患者に口腔資料を提供するサービスです。医療情報は個人情報の中でも厳重に取り扱う必要があり、国が定める医療情報取り扱いガイドラインに準拠したVPN回線(暗号化)を用いるため、安全性に配慮しております。患者資料の提供方法は大きく分けて2通りです。
診査結果報告書は、患者目線で誰が見ても分かりやすい直感的な資料です。これにより自身の口腔内の興味関心や、予防歯科の理解を深めていただければと思っております。
前述の「歯の健康ファイル用テンプレート」(pptファイル)を提供しております。テンプレートに画像を挿入したり、コメントをご記入いただきご利用ください。 尚、テンプレートはMTMに沿って(初診時、初期治療、再評価1、再評価2、メインテナンス)ご用意しております。また、テンプレート以外のファイルも患者さんと共有できますので、貴院オリジナルの資料がございましたら、そちらをご利用いただいても構いません。運用方法は各医院様にお任せしております。その他に「院内掲示用ポスター」や「患者登録用リーフレット」等の配布資料データもご用意しておりますので、クレセル社までお問い合わせの程お願いいたします。
当社が予防歯科に取り組む目的、意義について、まだまだOP医院の皆さまにご理解いただけていないと感じおります。当社の取り組み、提供するサービスにおいては、定期的に情報発信させて頂きますので、次回以降の当社セミナーへの参加をお待ちしております。