サルースデンタルオフィス:竹内早香さん
患者への「診療情報」の説明とその患者理解について。
当院の患者説明で最も重要視しているのは、患者様の視覚に訴える事です。
まずご自身のお口がどのような状態か理解していただくために、初診時に規格性のある口腔内写真撮影を行います。さらに口腔衛生指導ではプラークの2色染めを行った状態で、ペンタイプのカメラで写真を撮影します。これで現在のプラークコントロールの詳細が判ってきます。
私たち歯科医療者は健康な状態を知っているからこそ問題点を指摘できますが、患者様は必ずしも同じではありません。そこをわかりやすく伝えるのは言葉以上に視覚であると思っています。
衛生士として成長を実感したのはどんな時ですか。
卒後1年目は資格をもっているだけの素人という状態でした。
アシスタント業務に加え、指示された仕事をする日々を繰り返すうちに、自分の仕事内容に関して「もっと勉強してみたい」と、欲が出てきたのを感じました。時期としては5年位経っていましたでしょうか。新しく知識が増える事が楽しく、その頃は日曜日に講習に行くこともあまり苦ではありませんでした。
貴院は「担当衛生士制」ですが「アシスタント兼衛生士」との違いは何でしょうか。
担当衛生士制の場合、自分が主体となって患者様と接する形になります。患者様もそのつもりで来院されるので、当然ながらいきなり衛生士が体調不良でお休みをいただくことはなかなかできません。仕事に責任が多く掛かかりますが、自分の対応に患者様から直接反応が頂けるのでやり甲斐があります。
なぜ衛生士になろうと思ったのでしょうか。
実は他になりたい職業はあったのですが、元々、折角働いてお金を頂くのであれば、直接感謝される医療の仕事がしたいと考えていました。その中でも予防歯科は健康に直結する分野なので、健康意識の高い方がいらっしゃいます。歯科衛生士はそういった方々のQOL向上の役にたてると思って今現在も仕事に取り組んでいます。
子どもの頃に通われていた歯科医院での思い出を教えてください。
歯科医院に関しては特に印象的なことはありませんでしたが、幼少時は母に連れられてフッ素の塗布をしてもらったり、ブラッシング指導を受けたりした記憶がうっすらと残っています。今思えばそういった母の行いのおかげで歯の苦労を殆どしなかったため、本当に感謝しています。
当時の私と同じ様に、お父さんお母さんに連れられて来院するお子さんを対応しますが、仕上げ磨きやフロスで四苦八苦している話を聴くと応援したくなりますね。それは子供の将来の健康を願っての行動ですから。
衛生士として最もやりがいを感じる時はどんな時ですか。
患者様の既成概念を変えられた時です。
来院時に、前回よりも口腔内の衛生状態が改善された様子から、患者様の気持ちの変化がわかり、とても嬉しくなります。また、口腔内だけでなく、身だしなみや生活スタイルの変化まで起きてくると、ホワイトニングを希望する方も多くいらっしゃいます。こんな時には前向きな気持ちで来院されているのが伝わってきて、歯科衛生士としてやりがいを感じます。
竹内さんから見て、良い歯科医院とは何ですか。
きちんと検査と説明を行い、専門家の意見を交えて情報提供をしてくれる医院です。
医療ですので、残念ながら患者様の要望だけを聞くわけにはいかない場合もあります。検査結果に加えてゴールを示してくれると、患者様としては安心感があるのではないかと思います。
医院の立ち上げメンバーとして選ばれた理由や、開業当初に思い描いていた理想がありましたら教えてください。
立ち上げ時の歯科衛生士は私1人でしたので不安な部分もありましたが、徳永院長とは以前からの知り合いでしたので意見も交わし易く、診療室をcureエリアとcareエリアに分けるなど内装の設計から参加させていただいてとても満足しています。
患者さんとのコミュニケーションで心掛けていることはありますか。
治療を円滑に進めるためのコミュニケーションですから、伝え易くするために、患者様と目を合わせて話すことを心がけています。情勢的にお互いマスクをしていますので、なかなか気持ちが伝わりにくい分、日常で起きた変化もちょっとした雑談で汲み取れるように気をつけています。
生涯、歯科衛生士を続けますか。
恐らく続けると思います。途中でブランクを作ってしまったら遅れをとってしまうので、仕事を通して勉強をしながらスキルアップしていきたいと思います。今はより快適な施術を受けていただけるように、デンタルエステ系統のセミナーも受講してみたいと思っています。
院長の予防歯科に対する理解度はいかがでしょうか。
高いと思います。セラミックスを研究してきた方なので、審美歯科治療を成功させるための口腔衛生に余念がありません。セラミックスの治療を希望される方にはまず、「土台となる口腔内の環境を改善しておくことが重要です。」と、日々患者様に諭しています。歯科において健康と美しさはイコールですので、歯科衛生士から歯科医師へ良いバトンを回せるように日々精進しています。
衛生士学校時代の思い出を教えてください。
私は2年制の学校に通っていたのですが、1年目は講師の先生の話を聞く座学が中心でした。2年目の殆どは一件の歯科医院での臨床実習でした。この実習がとてもたいへんで、社会の厳しさを垣間見た思いになりました。途中で辞める学生もいましたが、当時のクラスメイトと必死に勉強して実習についていきました。その当時の経験があったからこそ、社会に出てプロ意識を持って歯科衛生士を続けられているのだと思います。