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2026年労基準法大改正:実務へのカウントダウン
歯科経営が直面する「構造的・労働制約」への備え

現在、2026年1月。
日本の労働基準法は40年ぶりの歴史的転換点を迎えようとしています。
労働政策審議会での議論はいよいよ大詰めを迎え、法案提出に向けた実務的なカウントダウンが始まるフェーズにあります。
当初、政権方針を巡る様々な議論もありましたが、現在の政策の潮流は一貫しています。
それは、「個人のパフォーマンスを最大化させるための健康管理」を重視する、自律型モデルへのシフトです。
このパラダイムシフトは、労働集約型の側面が強い歯科経営に何をもたらすのか。
私たちが注視すべきは、「構造的な労働供給の制約」という、避けては通れない現実です。

1. 物理的に「労働時間をコントロールせざるを得ない」時代の足音

今回の改正案で議論されているのは、単なる残業規制の強化に留まりません。
診療体制そのものに物理的な制約がかかる可能性を指し示しています。

  • 13日を超える連続勤務の抑制(案)
    2週間に1回は必ず休日を確保することが、これまで以上に厳格に求められる流れにあります。

  • 勤務間インターバル制度の議論
    退勤から翌朝の始業までに、一定の休息時間(9〜11時間)を設けることの義務化、あるいは努力義務の強化が検討されており、早出や遅番のシフト管理に直接影響します。

2. 「週44時間特例」の見直しと経営へのインパクト

小規模な歯科医院にとって最大の関心事は、従業員10人未満の事業所に認められてきた「週44時間特例措置」の動向です。

  • 想定される影響
    もし特例が廃止・縮小された場合、週6日診療や土曜フル診療を現在の体制で維持している医院では、法定労働時間を超過するリスクが生じます。

  • 経営の選択
    割増賃金の負担増を受け入れるか、あるいは診療時間の適正化(時短)を図るか。
    経営者は今、持続可能な経営モデルへの再構築を検討すべき時期に来ています。

3. デジタル時代の盲点:昼休み・診療後のLINE連絡

現在、多くの現場で行われている「LINEによる業務連絡」は、今後の法運用において「労働時間」と認定されるリスクが極めて高くなっています。

  • 「手待時間」とみなされる可能性
    休憩時間は「自由利用」が原則です。
    昼休みに業務の指示や確認をLINEで行った場合、その時間は休息ではなく「待機時間(労働時間)」と判断されるリスクがあります。

  • 残るデジタルログ
    送受信の記録は客観的な証拠となります。
    診療時間外のデジタルな接触は、法的な意味での「指揮命令下にある時間」と捉えられかねない時代になったのです。

4. 予防歯科が示す「真の働き方改革」

この構造的な変化を乗り越えるには、経営も「事後対応」から「未然防止(予防経営)」へとアップデートしなければなりません。

  • 情報の「ストック化」
    LINEで個別に「流す」フロー型から、クラウド上の共有ノートやSOP(標準作業手順書)に情報を「置く」ストック型へ。
    スタッフが「勤務時間内」に自ら情報を取りに行く仕組みを作ります。

  • 属人性の排除
    院長が細かく指示を出さずとも、仕組み(MTMなど)に基づき、スタッフが自律的に高いクオリティの処置を行える体制。
    これこそが、労働時間に依存しない高付加価値経営の鍵です。

2026年を「進化」の元年に

法案の全容が見えつつある今、必要なのは「静観」ではなく「準備」です。
スタッフの心身の健康を「予防」し、高いパフォーマンスを維持できる環境を整えることは、私たちが大切にしている予防歯科の理念そのものです。
コミュニケーション・ギアは、この変化を前向きに捉え、高付加価値な自立型組織へと進化する歯科医院を全力で支援してまいります。