荒川敦子さん:チョコレート歯科医院
貴院の特徴と荒川さんの役割について、教えていただけますでしょうか。
当院の診療の特徴は「健康な口腔になるためのサポート」です。各患者さんごとにカスタムメイドした歯科医療を提供しています。また私の役割ですが、他のスタッフが動きやすくなるようにサポートしている…つもりです。
荒川さんはチョコレート歯科医院で初めて予防歯科を学んだとお聞きしました。
チョコレート歯科医院に就職して、印象的だったことがあれば教えてください。
チョコレート歯科医院で働くようになって、私がこれまで学んできたこととの違いが多く正直驚きました。診療室が個室かつ衛生士1人につき1部屋与えられること、さらに患者さんと1対1でしっかりと向き合い、個々のリスクに応じて指導を行うということにも衝撃を受けました。かつては唾液検査などのリスク検査も行っていました。近年ではより科学的な手段でリスクを評価するようになりました。歯周病に対してはステージ、グレード分類が示されていますので、それを使用しています。
荒川さんは成人・小児の両方を担当されているため、それぞれで説明・対応の線引きが難しいと思いますが、何か工夫等されていることがあれば教えてください。
まず成人の場合は健康になりたいと思って来院される方がほとんどです。お伝えしたことを実行される方・されない方がいるという部分では様々ですが、上手く誘導しながら患者教育ができるという点はメリットだと思っています。
次に小児の場合ですが、やはりお子さんだけでは難しいため、ご家族を巻き込む必要性があります。最初はご家族が中心でも良いですが、少しずつお子さんの意識も変化させなければいけませんので、まずはお子さんができることを見つけて、そこを伸ばしていくような指導を心掛けています。
お子さんの予防指導で一番のポイントは何でしょうか。
まずはお子さんのキャパシティを把握するようにしています。できないことをやらせるのは難しいので、1回~3回くらい少し時間を掛けて、私の問い掛けに対してその子がどの様な姿勢で答えてくれるのかという部分を見るようにしています。やはり無理をさせても継続できないですし、痛みで来院されているわけではないため、決して急ぐ必要はないと思っています。
1回目からユニットに座って写真を撮れる子もいれば、泣いてしまって診療室に入って来れない子もいますので、少しずつ歩み寄って駆け引きをするようにしています。
患者対応や予防指導のお話を聞きますと、衛生士の判断で自由に任せてくれる部分も多いですね。
はい、そうです。歯科医師からは一切「こうだよ」「ああだよ」という指示・決定はないため、担当歯科衛生士が患者さんの個性とリスクに応じて自由に進めることが可能です。その一方で歯科衛生士の責任にも繋がりますから、しっかりと情報をアップデートして患者さんに向き合うことが求められます。このような臨床スタイルは患者さんにとっても歯科衛生士にとっても素晴らしいと思っています。
むし歯・歯周病で異なるとは思いますが、成人の予防指導のポイントは何でしょうか。
やはり色々なタイプがあり、むし歯だけ、歯周病だけの方、もちろん両方の方もいらっしゃいますし、その重軽度も異なります。診療は予防歯科医療モデルをベースに進めておりますが、患者さんの症状によりアプローチの強弱が変わってきます。
また小児とも通じますが、患者さんにとって何が重要なのかを見極めて指導することがポイントだと思っています。その結果、私について来て継続して通ってくださる方がたくさんいることが“やりがい”に繋がっています。
荒川さんが知識をアップデートされる時はドクターからの教えが多いのでしょうか。
もちろんドクターでしたり、無理を言ってセミナーに同行させてもらうこともあります。また自分の興味のあることは触れてみるか触るようにしているので、少しでも興味があるものは個人的に受講したり、歯科雑誌などから学ぶようにしています。自分の子ども達にも年齢や環境関係なく、頑張っていることを伝えていきたいと思っています。今後もチャンスがあれば何でもチャレンジしていきたいです。
メインテナンスを継続している患者さんについて、健康感の上昇とともに審美的な欲求も高まってくると思いますが、その辺はいかがでしょうか。
審美的な歯列矯正とは少し異なりますが、口腔内環境が整って落ち着いてくると、自ら「歯並びが原因でここにプラークが付きやすいんです」と仰って、磨きやすい環境を作るために歯列矯正を希望される方はいらっしゃいます。
TBI(歯磨き指導)は、お子さんの磨き残し等を確認して行っているのでしょうか。
例えば2歳のお子さんでも染め出しが可能ならば行いますし、目で見て分かりやすいため、「ここがバイ菌のいる所だよ」と動機付けに繋げています。また保護者に対する仕上げ磨きの参考にもなりますので、「ここをしっかりと丁寧に磨いてください」と指導内容と共に説明を差し上げています。
貴院の所在地である栃木県鹿沼市の患者傾向の特徴を教えてください。
鹿沼市の高齢化率は30%で日本の平均よりも高く、ご年配の方の来院が増えている印象はあります。
一方で、他市町村や他県からの通院や、お子さんの通院をきっかけに保護者が通院されるケース、その逆のケースも多いため、幅広い年齢層の患者さんがお越しになられています。
在籍(2011年)されてから今年(2024年)で13年目となりますが、現在の患者さんの口腔内状況や診療ニーズに変化はありましたか。
初診時の口腔内状況は、それぞれに大きく異なります。年々、口腔内への関心が高まっていることを感じます。ずっと通院しているのに繰り返しう蝕を発症する・・何のために定期的に通院していたのかと疑問や不安をもって来院される患者さんが多いです。健康な歯で生涯過ごしたいという患者さんも同じくらいおられます。口腔疾患の予防が定着することで、歯の変色や歯列不正が気になったり、健康な歯を維持するためにために磨きやすい歯並びを獲得したいなどの声は多くなります。
貴院の臨床基盤、またはそのスタイルと荒川さんが過去に勤務していた歯科医院との違いはなんでしょうか。
全てにおいて責任があるということです。患者さんが良くなること、逆に悪くなることも想定してアドバイスを行い、その結果、健康な口腔に導くことが出来るのです。自分次第ですが、ほとんどの患者さんが継続して通われています。歯科医師の指示をもとに、各衛生士がそれぞれの想い・知識・技術を提供することで、これまで違う道を歩んできた全患者さんが同じゴールを目指して進むことができる様になります。
患者への「診療情報」の説明におけるポイントは何でしょうか。
患者さんによりけりです。都度、ニュアンスを変化させたり、時にはストレートに直球勝負。またオブラートに包んでお伝えもします…。可能な限り簡潔に崩して伝えるように心掛けています。
メインテナンスの際に心掛けていることはありますか。
一方通行で指導することよりも、必要なポイントが継続できているかを確認することに重点を置いています。また様々な変化(体調・環境・職場…)が無いか、無理はしていないか等に気を配るようにしています。
ホームケア指導はいかがでしょうか。
患者さん自身の口腔内環境に合ったアイテムを選択できているか確認することです。使っているではなく、使えているか?やっているではなく、できているか?と、患者さん個々の口腔内のリスクとライフスタイルを鑑みて、実行するための工夫やポイントを説明して理解まで導いています。
歯科衛生士として成長したと思うのはどんな時ですか。
周りを見ることが出来るようになった時です。周囲のサポートが可能になったことで、当院がさらに良くなるには?と広い視野で物事を考えらようにもなりました。
歯科衛生士を生涯続けますか
YES!
今後の目標
認定歯科衛生士
これからの歯科衛生士の働き方
結婚・出産・育児中後も復帰できると良いです。
好きなケアグッズ
- ソニッケア
- TEPEコンパクト
- フロアフロス
使用しているキュレット
- LMシリーズ
- サンデンタル
参加してよかったセミナー
今までのセミナー全てです。
愛読書や雑誌(歯科関係)
少し違いますが、顎模型、骨模型を購入しました(ひとめぼれ…)