Skip to main content

加納美枝子さん:OPひるま歯科 矯正歯科

患者さんへの「情報提供」の媒体や説明とその患者理解

検査時の口腔内写真やレントゲン、むし歯と歯周病のリスクデータをファイルにして説明時にお渡ししています。説明後にご自宅で見直しをしたりご家族の状態を比較したり、手元にご自身のデータがある事は大切だと思います。チェアサイドで説明する際にはアニメーションでの説明が出来るデンタルフラッシュ、むし歯リスクはカリオグラム、歯周病リスクはOHIS、院内で作成したPowerPointの患者説明ツール、紙媒体、など、場面や理解度に応じて使い分けます。アニメーションでの説明が出来るデンタルフラッシュは子どもや日本語の通じにくい方にも理解しやすいです。

子どもの頃の歯科体験

小学生のころ、歯科検診で受診を勧められ何度か行ったことは覚えていますが、何をしたのかほとんど覚えていません。大人になってはじめて自分の歯に詰め物があることを知りました。わざと飴をなめたまま寝たりしたこともあったほど、口腔内に意識がありませんでした。

出身校での学び

非常に厳しい学校生活でした。歯科衛生士学科全体2年制から3年制への移行期間だったため2年間で3年分に値する内容でした。それまで助手をしながら深い理解もなく働いていましたが、歯科は医療であり、解剖や病理や細菌学など、実際の知識は幅広く必要とされるのだと驚きました。多くの病院へ実習に行きました。試験やレポートに追われて本当に大変でしたが、基礎の大切さを教えられました。ただ、本来あるべき歯科衛生士像のイメージは学生時代には分かりませんでした。

現在所属の歯科医院を選んだ理由

現在の院長先生の発表をうかがう場があり、その決断力に惹かれました。自分が変わらないといけないと感じていた時に同じ帽子をかぶる事ができる仲間がいる職場だと感じました。全てのスタッフが同じ帽子をかぶっていないと、自分のやりたいことは出来ないと思ったので選びました。

患者さんとのコミュニケーションで心がけていること

情報が一方的になっていないか、患者さんは理解しながら来院できているかをいつも確認するように心がけています。今までU20を担当していましたが、子どもたちの理解力の柔軟さに習うところが多々ありました。最近成人担当になり、成人の方だとしてもシンプルに分かりやすく説明する事の重要性を感じます。そして、今だけにフォーカスするのではなく、過去への理解をすることで自分の口腔内が将来どうありたいのか、考えられるようになると思います。理解してくれた方が周りの人にその考えを伝えられるように咀嚼し、発信してくれる様になれば良いです。1人の人の理解がその周囲の人の行動を変えられるよう、その患者さんの背景をとらえながらコミュニケ―ションをとる様にしています。

歯科衛生士として成長したと思う時

成長を感じる、というより、日々自分を振り返りながら診療する毎日です。成長するために必要なことは常に患者さんから教えてもらっていると思います。課題を見つけて一つずつ解決する積み重ねですし、きっと自分に満足することは無いと思います。ただ、患者さんが家族や知人を紹介してくれた時は少し役にたてているのかもしれないと感じる時です。

スキルアップのために心掛けていること

その日の事はその日のうちに、と言いたいところですが、分からないことを調べるのに何日もかかることもあります。ただ、分からないことを自分で解決出来なかったら周りの仲間や先生方に聞いて解決するようにしています。当院は院内勉強会や症例発表会などの場がある事でスタッフや講師の先生から教えて頂けます。自分自身の振り返りにもなり、課題の解決と今後の展望を考えられる良い環境に感謝しています。

3年後の自分は

今はまだ3年後の自分が想像できません。一つ一つ目の前にある事を解決するのに精いっぱいなのかもしれません。でも、ここまでだと限界を決めたらそこで止まってしまいますので、ペースは自分なりのものになるかもしれませんが、3年後は今より視野の広い歯科衛生士でありたいと考えています。

歯科衛生士を生涯続けますか

はい。続けます。患者さんも私もおばあちゃんになったらどうなるのかしらと思いますが、そんな未来を思い描けるのは、この仕事に生涯を費やしたいと思っているからです。口腔内と全身の健康観を共有し通い続けてくれる患者さんがいる限り歯科衛生士は続けたいです。そのためには必要とされるような存在にならないといけないと思っています。

お勧め歯ブラシ

何十年も歯を磨くので、私は柔らかめのブラシをお勧めしていますが、患者さんの技術や好みに合ったブラシを一緒に見つけましょう

愛読書・雑誌

  • クリニカルカリオロジー
  • デンタルカリエス
  • トータルカリオロジー
  • 中山吉成先生DVD「30年の臨床で構築された90%非外科的歯周療法で成果をあげるインスツルメンテーションテクニック」

終了セミナー

  • 日吉歯科診療所「歯科衛生士見学セミナー2012年」
  • 福井秀和先生「ペリオセミナー」全6回

これからの歯科衛生士の働き方

私は歯科衛生士になった後しばらくは他院でアシスタント業務に従事していました。歯科医師の「治療」が最善の状態で行える様に努力する事で達成感を感じていたと思います。しかし、大切なことは健康な状態で生えてくる歯が生涯病気にならずに維持できることなのです。ライセンスを持った以上、患者個々に対しての責任を持った独立した存在であるべきだと感じています。もちろん、同じ志を持つ他スタッフとの連携があってこそです。患者さんが生涯、むし歯や歯周病で健康を害することなく、美味しいものを大切な人たちと楽しむために、生涯寄り添える存在である事が本来あるべき歯科衛生士のあり方かと思います。